会長挨拶

日本福祉のまちづくり学会
学会長就任にあたって



 この度学会長に就任しました東洋大学の橋儀平です。就任に当たり会員の皆様に一言ご挨拶申し上げます。
 皆様ご承知のように、本学会は1997年7月に設立(当時の名称は「福祉のまちづくり研究会」)されました。阪神淡路大震災の復興支援への取り組みから、全国的組織として活動を開始、現在北海道から九州まで6支部を要する規模にまで発展しました。会員数は800名を超え、工学から福祉、文化、デザイン、リハビリテーションの分野まで幅広く、我が国の福祉のまちづくり、バリアフリー、ユニバーサルデザインを主導する中核的組織といえます。
 既に設立から13年目を迎えていますが、この間の「福祉のまちづくり」を取り巻く国内外の動向は、実に急激でした。特に2000年に介護保険法、交通バリアフリー法が制定されてからは、国内の関連法制整備が進み、欧米先進国とほぼ同等水準、あるいはそれ以上のハード面の取り組みが見られます。しかしながら、一方では依然として本学会が設立された当初、もっと言えば、「福祉のまちづくり」という活動が日本に生まれた1970年代からの課題を背負っていることも事実です。
 すなわち、市民一人ひとりの人権に基づく市民連帯のまちづくりの脆弱さ、バリアフリー法制度を具体化する計画力の弱さ、最も理想的なかたちを表現する構想力と決断力の欠如もあります。結果的に、断片的で魅力のない「福祉のまちづくり」が混在しています。国や国民の理解としても、人が人をささえる方法、人と環境との齟齬についてなお十分な議論がなされているとは言えません。
 本学会の役割は今後も決して少なくはありません。そのためにも、将来的に実現させるべき「福祉のまちづくり」の目標と、それらの計画と手法については、あせらずじっくりと、みんなで練りあげていく必要があります。さらに適切な検証も重要な転機を生み出します。全国津々浦々で多くの会員が「福祉のまちづくり」活動に従事しています。本学会で培われた知力、実践力、ネットワーク力を遺憾なく発揮し、よりよい社会環境の実現に向けて怯むことなく前進して頂きたいと思います。
 終わりに、本学会をこれまでご指導頂いた歴代の会長の皆様のご尽力に心から感謝を申し上げますとともに、今後とも引き続きご指導、ご鞭撻をよろしくお願い申し上げます。
 会員の皆様におかれましては、これまで以上に本学会の様々な活動に積極的にご参加頂き、内外に誇れる本学会の牽引者となられるよう切にお願い申し上げます。

2009年6月27日
日本福祉のまちづくり学会会長
東洋大学ライフデザイン学部 橋儀平




学会(組織)活動の主要課題

1.学会組織の強化
  ・学会組織検討、法人化(一般法人化)については、総務委員会が中心となり,本年度からの業務委託先であるACnet事務局と連携して進める。
  ・法人化の目途を2010〜11年とする。
  ・副会長、理事による常設委員会の統括、必要に応じて委員会の在り方検討の場を設ける。
  ・学会賞の創設検討→上記の臨時委員会で検討。
・安定した財源確保の為に、会費の検討、学会経費の削減を積極的に展開する。
  ・事務局の柔軟な改変、強化を図る。
2.学会PR活動の強化
  ・法人会員の勧誘。
  ・関係機関、都道府県、政令市への積極的なPR活動を推進する。
  ・HP更新作業を開始する。
3.委員会等活動の強化と会員サービス
  ・委員会活動の強化、幹事の積極的参加、委員公募などを行う。
  ・大会開催地の長期的候補地を検討する。
  ・学会主催事業の強化、学術研究委員会活動の活発化を図る。
  ・支部活動の強化を図る。
  ・国際交流の推進、特にアジア地域との連携を図る。
4.会誌の強化
  ・学会誌の発刊を拡充する。
  ・編集委員会の強化を図る。
  ・各委員会情報、支部情報を積極的に掲載する。
  ・広告掲載規定を早急に検討し、実現する。
5.論文委員会の強化
  ・各分野別論文査読委員候補を強化する。
  ・円滑な論文査読事務運営を図る。
  ・投稿論文を積極的にPRする。
6.その他
  ・定款検討に伴う名誉会員、評議員、顧問制度の見直し。
  ・各種規定の見直し:選挙制度、役員交通費、報酬、支部支援費等。

2009年6月27日  橋儀平